セールスに苦手意識を持っている方の多くは、特定の「レンズ」を通してセールスを見てしまっているため、結果が伴わないことがよくあります。この「レンズ」は、いわばセールスに対する考え方やアプローチのフィルターです。この記事では、上手く行かないセールスの背後にある「レンズ」を深く掘り下げ、その変え方について解説します。

まず、セールスが上手く行かない多くの人が抱えているのは、「勧めたら嫌われるかも」「こんなにお金が無いと言っている人に勧めたら悪い」というネガティブなマインドセットです。この考え方は、セールスを自分本位に進めてしまう一因となります。相手に対して負担をかけてしまうのではないかという不安が強く、積極的に提案することを避けてしまいがちです。

​このようなマインドセットを持っていると、自然とセールスのアプローチも消極的になり、相手に対してしっかりと価値を伝えることが難しくなります。結果として、相手に響かないセールスが行われ、成約に結びつきません。

セールスが上手く行かない真の原因は、「商品の説明をするから」です。多くのセールスパーソンが陥る罠は、自分の商品やサービスを一生懸命説明することに集中してしまうことです。

しかし、お客様が本当に興味があるのは、あなたの商品ではなく「自分自身のこと」です。言い換えれば、お客様は「この商品が自分にどう役立つのか？」を知りたいのです。

「​上手く説明して相手を説得しよう」とするアプローチでは、相手の心を動かすことはできません。セールスにおいてノウハウは確かに役立つこともありますが、それだけでは不十分です。

たとえば、「私の商品を購入するとこんなことが出来ますよ」「こんないいことがあるよ」と説明するだけでは、売れることはほとんどありません。むしろ、商品を売り込もうとすればするほど、売りづらくなるのです。

さらに、「いかに自分の商品やサービスが他と違って優れているか」「どうやったら納得するか」といった方向性でセールスを行っている場合、相手のニーズや状況に寄り添うことなく、一方的に商品やサービスの良さを押し付ける形になってしまいます。このアプローチでは、相手の感情や関心にアプローチすることができず、単なる商品説明で終わってしまいます。

​特にセールスが苦手な方は、相手に対して自分の言葉がしっかり伝わるかどうかに意識が集中してしまい、結果的に一方通行のコミュニケーションになりがちです。

あなたがセールスに対して抱いているイメージが、セールスの結果に大きな影響を与えることがあります。セールスの定義がズレていると、どんなに優れた商品を持っていても、それを上手く伝えることができません。多くの人が「セールスは押し売り」や「セールスは説得すること」と考えがちですが、実際にはそうではありません。

​セールスの本質は「お客様が自分の問題を解決するために、あなたの商品やサービスがどう役立つかを理解してもらうこと」です。つまり、セールスとは「価値を提供する行為」であり、決して押し売りではないのです。

「ノウハウを与える」という形でアドバイスをするセールスも、上手くいかない場合が多いです。例えば、「それはこうやったらいいですよ」というアドバイスは、相手の具体的な問題やニーズに応じたものでない限り、単なる一般論として受け取られてしまいます。

​さらに、セールストークにおいては、相手が今どう感じているかを無視して、自分の言いたいことだけを伝えてしまうことが問題です。「説明を聞かされる」という状況は、相手の感情を動かすことなく、セールスを退屈なものにしてしまいます。これでは、相手の心に響かず、購買意欲を引き出すことができません。

「〇〇法の型にはめようとする」というアプローチも、セールスが上手く行かない原因の一つです。セールスのテクニックや方法論は確かに役立つことがありますが、それを機械的に適用するだけでは、相手に対して真摯に向き合っているという印象を与えることはできません。

​型にはめたセールスは、相手の状況や感情を無視して、ただの「セールステクニック」に終わってしまう可能性があります。これでは、相手に信頼感や親近感を抱いてもらうことが難しく、結果として成約に繋がりにくくなります。

では、どうすればこの「レンズ」を変えて、セールスを楽しく、成功に導けるのでしょうか？それには、以下のポイントを意識することが重要です。

相手のニーズにフォーカスする: セールスの主役は商品やサービスではなく、相手のニーズや悩みです。相手が何を求めているのか、どんな問題を抱えているのかに深く耳を傾け、それに応じた提案をすることが大切です。

感情にアプローチする: セールスはロジックだけではなく、感情も動かす必要があります。相手が商品やサービスを使うことでどんな未来が得られるのか、どんな悩みが解消されるのかをイメージさせることで、購買意欲を高めることができます。

対話を重視する: セールスは一方的な説明ではなく、対話です。相手の反応を見ながら、柔軟にアプローチを変えていくことが成功の鍵となります。相手のフィードバックをしっかり受け止め、それに応じた対応を心がけましょう。

​信頼を築く: 最終的に、セールスは信頼関係の上に成り立つものです。短期的な売上を追求するのではなく、相手に対して誠実な対応をすることで、長期的な関係を築くことができます。

セールスが上手く行かない理由は、しばしば「レンズ」の問題にあります。ネガティブなマインドセットや一方通行のコミュニケーション、型にはめたセールス手法など、これらのレンズを変えることで、セールスの楽しさと成功を手に入れることができます。相手のニーズに寄り添い、感情にアプローチし、対話を重視することで、セールスは単なる売り込みから、価値提供の場へと変わります。

​さぁ、あなたの「レンズ」を説明型ではなく、診断型に変えてセールスを激変させましょう！